突然だけど、闇というものは、僕達のすぐ近くに本当に落とし穴のように存在するものだと思うんですよ。
 
明るく楽しい生活を送っている、そのすぐそばで闇は待ってるんだよね。そしてその闇につい落ちてしまう人もいれば、一生その闇の存在にすら気付かずに終われる人もいるんだと思う。
 
例えば交通事故とかってまさにそうでしょ、事故を起こす一瞬前まではおそらくごくごく楽しいドライブだと思うんですよ。でも何かのミスで事故ってしまった瞬間に突然闇に落とされるでしょ。極端な話、人をひいて殺してしまったなんてなったらね、それこそ本当に深く長い闇に突然落ちちゃう訳だよね、しかも一生出る事の出来ない闇だよ。つまりそんな大きな闇と、普段の平和な生活ってものが本当にすぐ隣合わせで存在してる訳ですよ。
 
でも、実は本当に突然の闇っていうのはなくて、それなりの前兆っていうか、多少自分から闇に近付いてる行為ってのがあると思うんだよね。交通事故に例えるなら、もしかしたらそのドライバーは闇に落ちる直前(つまり事故る直前)何かに気をとられて運転が散漫になっていたかもしれない。あるいは前日に何かあって寝不足だったかもしれない。とにかくそういう闇が現れる前兆の行為っていうのを何かしてたかもしれないんだよね。そしてもっと言うなら、そもそも車の運転をしなければ絶対に事故は起こさないでしょ。車に乗るっていう行為そのものが少なからず闇に近付く一要因にはなってた訳だよね(もちろん車に乗る事自体を否定する気は全くないが)。
 
しかし当たり前だけど、車を運転する全ての人が闇に落ちる訳じゃない。闇は本当にすぐそばにあるけど、そこに落ちるかどうかは全く分からない訳だよね。だけどやはり自分から闇に近付いてしまった事は確かで、最初っから車にさえ乗らなければもちろん人をひく事だってなかった。そういう意味では避けられない事ではなかったと言えなくもない。
 
しかしまあ、ひかれた側にしてみればそれこそ突然の闇だよね。本当に予期せぬ突然の闇だよ。それまでいかに幸せな、いかに真っ当な生活をしていたとしても、そこで事故に巻き込まれた事により、突然深い闇に落とされる事になる。でももしかしたら、その人にもすごい遠い所ではその闇につながる要因が何かあったかもしれない。「あの時言われた事を守ってれば・・・」みたいな事がもしかしたらあったかもしれない。
 
もちろん交通事故だけじゃなく、闇っていうのは色々な場所で色々な形に変わって現れる。例えば病気だってそうだし、仕事上の成功失敗だってそうだよね。誰もが闇に落ちる訳じゃないけど闇に落ちるにはそれなりの前兆・闇に近付く行為がある。それを『運』と言ってしまえばそれまでだけど、絶対に避けられないというものではない。
 
僕も何度かそんな闇に落ちた事がある。軽く言えば「運が悪かったんだよ!!」で終わる事でも、とにかく闇に落ちてしまった者にとっては、実際それがただ運が悪かったんだとしても、あるいは明らかに自分から闇に近付いてしまったんだとしても、とにかく闇の中は暗くて寂しいんだよね。そうなると原因はもう関係ない、とにかく闇の中は暗いとしか感じようがない。
 
同じ時間・同じ空間に居ても、闇に落ちてない人と闇の中の人では全く見える世界が違うんだよね。それこそが闇の恐い所だと思う。闇に落ちてる人間とそうでない人間は、全く同じ場所に居て、周りから見れば全く同じように見えても、実は完全に違う空気をそこで味わってるんだよね。
 
まあとにかく人は全く予期せずして、今の幸せな生活のすぐそばにある闇に落ちてしまう事があります。もしかしたら、闇に落ちている・あるいは落ちた経験があるという人の方がむしろ多いかもしれない。そんな時に自分ならどう対処できるか、友達ならなんと言ってあげられるか、恋人なら何をしてあげられるか。
 
僕もまだまだしっかりした人間ではないんで、正直何が出来るか、何をしてあげられるか分かりません。ただひとつ言えるのは、闇っていうのは暗いから、あたかもそこには自分しか居ないように思ってしまう。でも本当はその同じ闇の中には沢山の人が居て、みんな自分だけだと思って寂しくしてるんだよね。そこに誰かが一緒にいるんだって事に気付くだけでも、少しはそこから抜け出す元気が出るのではないでしょうか?
 
だからね、そう考えると友達が闇に落っこっちゃってる時、闇から助け出してあげようとするんではなく、自分だって闇に居るんだよ・闇に居た事があるんだよ、と言ってあげる事が一番良い助けになるのかもしんないですね。