貝食い

小学生の頃、そして中学生になってからも、よく親や先生から言われたものです「買い食いは駄目よ!!」とね。今はすっかりコンビニやファーストフード文化が発達してるから、もうそんな事言われないかもしれないですけどね、まだ僕が小学生・中学生の頃はね、登下校時とかはやっぱり『買い食い禁止』だったんだよね。

そんな幼少時のあおりかもしれないのですが、今回ベルギーに行って、すっかり『貝食い』してしまいましたよ、『貝食い』!!

なんちってね、しょーもないゴロ合わせですがね、しかーし!!僕がベルギーでムール貝やカキを食べる事を『貝食い』と名付けているのには、ちゃんと理由があるんですよ!!

その食べ方がね、マジで『貝食い』と呼ぶに相応しいんですよ、こっち(ベルギー)の食べ方はね。ムール貝なんてね、とにかくバケツみたいな容器で出て来るんですよ、数にして30個位はあるかな?あるいはもっとかもしんない。とにかくすごい量出て来るんですよ。

で、たいていそれになぜかフライドポテトがセットで出て来るんだけど、とにかくね、ひたすらその茹でたムール貝だけを食べ続けるんですよ。他は一切ないですよ、もうとにかくムール貝を食べ続けるの。日本で貝を食べるって言ったら、まあ寿司屋で赤貝とかアワビとかね、あるいは海辺でサザエのつぼ焼きとかね、まあ旨いですよね。でもさあ、そればっか食い続けるって事はないじゃん。貝と魚ととかって感じでしょ。

しかしね、ベルギーではとにかく主菜として、ムール貝だけを何十個も食べるんですよ。これってまさしく『貝食い』なんですよ、エッヘン、私が命名します。

思えば普段の我々ってこういう食べ方ほとんどしないよね。ご飯とおかずと漬け物と味噌汁ととかって感じじゃん、あるいは前菜とメインとパスタととかってね。だから一つの種類のものだけを食べ続けるってあんまないよね。前にアメリカの映画で観た事があるけど、海辺に住んでる家庭で、夕食が海老だけなのね。それもハンパない量でさ、テーブルの真ん中にドカーー!!って茹でたての海老が乗せられてて、もうひたすらその海老を食べ続けるんですよ、たまにビールをガブガブっと飲んで、それ以外はとにかく海老だけ食いまくる。パンもご飯もスープもなんにもないの、これまさに『海老食い』だよね。

そう思ったら日本でも蟹を食べる時だけは、意外と『蟹食い』になってるかもね。ひたすら食べるもんね、蟹の場合は。あと中国の家庭で、テーブルの上に100個位餃子が置いてあって、ひたすら餃子だけ食べてたのをやっぱり映画かTVで観た事があるなあ。

さて、話は戻って『貝食い』の話ね。ベルギーでのそのムール貝はね、本当に美味しかったね。日本でムール貝食べるっていったら、イタメシとかでね魚介類のパスタとかそんなのに1つ2つ乗ってるだけでしょ。まあ俺も正直美味しいとも思ってなかったんですよ「ムール貝??なんかパっとしないなあ・・・」って位の感じ。でもベルギーでその『貝食い(というかもうバケツ食いって感じ)』してみて、マジでうまいと思った。初めてムール貝をうまいと思ったと言っても過言ではないくらい、今までのムール貝のイメージと違ってましたね。

でもこの『貝食い』って、おそらくホントその産地じゃないと出来ないと思うんだよね、新鮮さもそうだし値段的にもね。だから日本に帰ってしまって、もうこの『貝食い』が出来なくなるかと思うと寂しいですね。

L.A.に僕の大好きな店で『KILLER SHRIMP』っていう店があるんだけど、そこもねちょっと辛いスープで煮た海老だけをひたすら食べさせるんですよ。まあバケツとは言いませんが、大きな鍋に何十匹も海老が入ってて、ひたすらそれを食うんだけど、マジでうまいんだよね。

なんかそういう『○○食い』の店って日本ないかね? ある意味わんこ蕎麦とかはそうだけどね、もっとある一つの素材だけをひたすら食うみたいな料理ないかな?前菜としてとかではなく、ホントにそれだけで夕食が終わるみたいな一品の食事。

思えばフランスのディジョンでエスカルゴを頼んだ時、ちょっと小腹が空いてるくらいだったらから半ダース(=6個)頼んだんだけど、ウェイターが「6個? 6個でいいのか? 12個は食べるぞ普通!!」とかってすごい勢いで薦めてきたけど、最低単位が12個とかなのかね、向こうでは。エスカルゴだけ12個とかあんま食べないよね、まず。

という訳で日本へ戻れば、また『貝食い』ではなく『バランスの良い食事』をする事になるんでしょうが、たまにはなんか一つのものをひたすら食う夕食をしたいなあ、なんだろうねえ、シュウマイとかかな??