パリ考

パリに行くのは本当に久しぶりだった。久しぶりと言うと、なんか前に何度も行ってたみたいだけど、そんな訳ではなく、僕が今回パリに行ったのは10年以上ぶりの2回目なのだ。前回にパリを訪れたのはまだ僕が中学生の頃だから、パリの思い出自体がかなり曖昧に薄れてしまっている位の「久しぶり」なのだ。
 
御存じの通り、僕はここ数年かなり色んな国に旅に行っていたのだが、そんな中でなぜパリに、というかなぜフランスに旅に行かなかったかと言うと、まあぶっちゃけた話あんまりフランスって国に魅力を感じてなかったのだね。初めて行ったのが中学生の時だったというのもあると思うんだけどね。新しい物好きの中学生にとっては、ヨーロッパよりも圧倒的にアメリカの方が魅力的に見えたのですね。
 
そんな訳で半年間休んで旅に行った時も、イギリス・イタリアには行ったけど、旅の中心は圧倒的にアメリカ周辺とアジアになったんですよ(だからTO THE WORLDの歌詞に世界の主要都市がほとんど出て来るのにも関わらずPARISは出てこないのです)。今回も本当はパリに行くつもりはなかったんですけどね、本当はN.Y.に行くはずだったんですけど、例のテロ事件が出発の10日前に突如起こってしまい、やむなく行き先をアメリカからフランスに変えたんですね。
 
まあそんな流れで10年ぶりに行く事になったパリなんですが、行く直前にNIGO君がやはりパリに行っていたので、出発前に面白い場所とかを聞いたんですが、NIGO君も「正直言ってパリってあんまり面白くないよ・・・」などと助言(?)してくれまして、ますます僕の中で「パリ行ってもなあ・・」な気持ちはデカくなっていたのですね。
 
まあそうは言っても花の都・パリですよ、世界の主要都市だし、少なくともファッションや流行に関しては新しい物があるだろうと期待して行ったんですね。
 
それがね、はっきり言ってほとんど無いんだよ・・・新しさが。僕らがパリやロンドン・N.Y.に期待するものって、やっぱり新しさでしょ。そこから新しい文化やファッション・スタイルやサウンドが生まれてくるのを感じたくて行く訳じゃん。例えばオーストラリアやハワイ・タイとかに旅に行くのとは明らかに求めている物が違う訳ですよ。新しいスタイルを見たくて行く訳ですよ。
 
しかしね、パリにはあまり新しいものはなかったね。なんかね、TOKYO(あえて英語で書きますが)と比べてどうとか、N.Y.と比べてどっちが進んでるとか、そういう事ではなくね、フランス人そのものが新しい物っていうのをあまり求めていない気がしたんですよ。むしろ今までの栄光の歴史を楯に「フランスはすごいんだ!!」と言い続けているような人種って気がしましたね。
 
確かに街並とかすごい綺麗なんですよ、やっぱりアメリカと違って歴史的建造物とかすごいあるしね、夜とかは本当にロマンチックな景色ですよ。アメリカ人がヨーロッパに憧れるのはすごい分かるんですよ、こんな景色はアメリカにはないなっていうのがすごくある。ただ、スタイル的に新しい物があるかっていうと、正直言ってそんなにない。だからすごく微妙なんだよね、例えばローマとかね、そういう場所は最初っから新しい物を求めてないでしょ、こっちも。だから全然納得行くんですよ。ただパリにはね、やっぱりただの歴史的な観光名所以上に新しいスタイルを求めてしまうんですが、実際に行ってみるとそこら辺の新しさと歴史的な古さっていうのがすごい微妙に混ざってる訳ですよ。だからこっちもどう楽しんでいいのか分からなくなっちゃうんだよね。
 
おそらく完璧な観光ツアーで訪れている人達はですね、色々歴史に触れて、エッフェル塔もきれいだし料理も美味しいし、全然満足だと思うんですよ。それだけでも充分楽しめるだけの器はパリにあると思うんですよ。ただ僕らがN.Y.やLONDONと同じものをパリに求めて行ってしまうと、正直言ってなんか中途半端なんだよね(僕はLONDONさえN.Y.に比べると中途半端な気がしてしまうんだが)。
 
だからね、最初からパリに新しい物を求めなければもっと素直にパリを楽しめるのかなって思いますね。例えばさあ、京都とかに我々は新しい物は求めてない訳じゃない。そんな感じ? その位の気持ちでパリを見ると、京都と同じでそこに意外な新しさを発見出来たりするんじゃないかなと。新しさを求めて行くのではなく、古い良さを求めて行くとその中に微妙な新しいものが見えて来るって感じだろうね。
 
<続く>