INTERNET20m→

俺ね、この看板をパリの街頭で見つけてちょっと笑ってしまったんですよ。これ、ネットカフェの案内板なんですけどね。「INTERNET 20m→」ってね、なんかアナログっぷりがね、可愛いでしょ。
 
インターネットっていったら、そりゃーもう世界に繋がって繋がっていつも、地球の裏側までも届いてしまうメディアな訳でしょ。それ即ち今までの距離の概念というものを全く排除してしまったメディアだと思うんですよ。地球の裏側に住んでる人も、ごくごく近所に住んでる人も、全く同じ感覚でつながる事の出来るメディアな訳ですよね。
 
国際電話ですらね、やっぱり遠い国とだと音が悪かったり音声が遅れたりするでしょ、電話代とかも違うし。でもインターネットっていうのは、本当に目の前の人と通信するのと外国に住んでる人と通信するのとで、差が全く無い訳ですよ。そこがすごいと思うんですよね。
 
そんな、距離という概念を一切排除してしまったインターネットまで、ここからまだ20mの距離があるんだな・・・って。なんか妙なアホらしさを感じましたね、この看板に。
 
いずれね、みんながもっと進んだ携帯通信端末を持つようになって、世界中どこにいても人と人がダイレクトにつながる事が出来る様になると思うんですよ。3001年にはね、それこそすごい事になってると思いますけどね、そんな未来の話ではなく、本当に数年先ってレベルでもおそらく携帯端末で世界中どこでも通信が出来て、いつでも連絡がとれるっていう状況はやってくると思うんですよ。
 
で、今はっていうと、まだそこまで20mの距離があるっていう。
 
なんかこの看板すごい深いと思うんだよね、「そっか、まだインターネットまで20mあるのか・・・」って考えさせられましたよ。この看板を従来の案内板みたく書くとですね「東京まで20m・ニューヨークまで20m・ロンドンまで20m・北京までも20m・・・」って事だと思うんですよ「インターネットまで20m」っていうのはね。でもそこには確実に20mはあるんですよ、その先は全く距離はないっつーのに。このデジタルとアナログの割り合い、従来の距離とネットから先の距離(の無さ)の関わりっぷり、なんかこれが今僕らが生きてる2001年の現状なんだろうって思うんですよ。
 
ちょっと前だったらね「公衆電話 100m→」なんて看板あったと思うんですよ、田舎とか。でも、もうないでしょ、電話までの距離ってもう0mなんですよ。
 
インターネットまで20mっていう距離、これが2001年の我々の距離感なのかなって。そんな事を日本から実際の距離でははるか離れたパリの街で思いました。