遺伝子

僕の音楽を聴いてくれてる人なら分ると思うけど、僕の中には明らかにXTCやTHEY MIGHT BE GIANTS、あるいは元を辿ればビートルズの遺伝子というものが入っている。もちろんそれだけじゃなく、プリンスだったりWEEZERだったりBECKだったりCAKEだったり、とにかく色んなアーティストの遺伝子が僕の中に入っていると思う。
これってすごいと思うんだよね、貞子じゃないけどさ、人の中に遺伝子として残っていくって素晴らしい事だと思うんですよ。例えばジョンレノンが死んでから何年も経つけど、いまだにジョンの魂・メロディー・言葉は色々な人の中に遺伝子として残ってる訳じゃん。これってある意味ジョンはまだ生きてるって言えると思うんですよ。
誰もがそうだと思うけど、特に学生時代聴いてた曲とかさ、ホントいつまでたっても自分の中に残ってたりするでしょ、完璧に遺伝子として残ってんだよね、それって。
音楽だけじゃなくね、親から子へ受け継がれるものって全部そうだよね、あるいは友達が言ってくれた言葉とか、誰かの思い出とか、そういのって全部遺伝子として残ってる訳ですよ。それを残せるっていうのはすごく重要な行為だと思うんですよ。
俺ね、そういう意味では子供産んだ人っていうのはそれだけでもう偉いというか、やるべき事をやったと思うんだよね。それこそ自分の遺伝子の塊をこの世に残した訳だからね、それだけでもすごいですよ。
最近ね、不況って事で俺の周りのサラリーマンになった友人とかやっぱすごく大変なんですよ(サラリーマン以外の友人はもっと大変だけど・・)。とにかく売り上げが大事じゃない、まあ俺らもそうだけどさ、儲からないとヤバイでしょ今の世界って。それでみんな本当に必死になってるけど、最近ふと思ったのは、そんなに売り上げとかばっか考えてていいのかな?っていうね。
僕の好きなアーティストの中には、はっきり言って全然売れなかった人も沢山います。アメリカでインディーズでアルバム1枚出しただけとか、そんなの沢山いますけどね、でも彼らの曲で本当に良いものはいつまでたっても俺の中に遺伝子として残ってるんだよね。それってすごい事じゃない? 遠く離れたアジアの国の全く知らないやつの中にずっと遺伝子として自分の曲が刻まれてるんだよ!!
100万枚売れたとしたって、それが単なる流行で、全然遺伝子として人々の中や次の世代に残らなかったら意味ないでしょ。それより、たった一人にでも深く心に遺伝子として残ったら、そんなに素晴らしい事はないんじゃないかなと(もちろんその数が多い方が良いとは思うけどね、ただ100万人に消費されるよりは、10人の心に残った方が絶対いいと思うんだよね)。
そう考えるとね、サラリーマンとかもさ目の前の売り上げどうこうとかよりさ、一体自分はどれだけの遺伝子を残せただろう?っていうのを考えれば、もっと違う見方が出来るんじゃないかなって。ビジネス上の業績ではなく、人の心の中にどれだけのものを残せただろうって考えたらね、絶対違う考え方が出来ると思うんだよね。
俺らにしてみても発売週のアルバムの売り上げとかって確かに重要だよ、でも逆にしっかり遺伝子として人の中に残って、それこそ50年後とかに誰かが俺の曲を聴いてそれで元気になったり何かを感じてくれたりしたら、すごい事じゃない? 実際俺とか10年前20年前に聴いた曲にいまだに影響を受けてたりするもんね、そういうのってその曲が発売時に何万枚売れたかなんて全く関係ないじゃん。
そうやって人の中にどれだけ自分の遺伝子を残せるかっていうのは、実は今目の前にある事よりすごく大事だと思うんですよね。子供の教育とかまさにそうでね、大人から子供へ何かを伝えて、またそれがその次の世代へって伝わって行ったら、それって永遠に生きることになるじゃないですか。どんな生き物にも寿命はある訳で、だからこそそういう遺伝子として残って行く行為っていうのはすごく重要だよね。
幸運にも僕は、アーティストという職業のお陰で、遺伝子をより多くの人の心に残せるかもしれない立場にいるんで、もちろんこれは僕次第ですけどね、これからもなるたけ多くの遺伝子をアーティストとして、あるいは一人の人間としてこの世に残せたら良いなあと思ってるのです。 ホント100年後に全く知らない遠くの国で、全く知らないやつが俺の曲を聴いて何かを感じてくれたりしたら、それって作者の俺本人よりもむしろすごい存在だと思わない? 世の中に遺伝子を残すっていうのはそのくらいすごい訳ですよ。