相手の立場

僕は昔から海外旅行っていうと(まあ家族旅行みたいのは別として)たいてい一人で行く事が多くて、日本から友達とみんなでバカンスに行くっていうより一人で行って向こうに住んでる友達に会うっていうパターンがほとんどでしたね。そうやって海外に行った時の一番良い経験っていうのは逆の立場・他人の立場を知る事が出来るって事だと思うんだよね。例えばE-MAILひとつとってもね、こっちから海外の友達に送るのと海外から日本に送るのってやっぱ全然違うんだよね。メールなんて最もデジタルな物で、一番そういう立場によっての違いみたいのがなさそうな物じゃない、でもやっぱ全然違うんだよね。やっぱり海外に一人で住んでたりして周りはみんな外人っていう状況で、しかも学校のコンピューターとかでやってる人はそれこそパソコンの日本語環境とかもすごく悪いよ、そういう中で届く日本からのメールっていうのはやっぱ日本の自宅で毎朝チェックするメールとは意味合いも感じ方も全然違う訳。
 
僕が海外の友達にメールする時、やっぱりこっちの立場で書いてる訳じゃん、日本の自宅でISDN環境で日本語でマックで書いている自分というのが基本になってる訳でしょ(僕の場合)、だけどそのメールを海外でモデムでウィンドウズで受け取っている側というのはやっぱ全然違く受け取ってるんだよね。そんなの日本にいる時は気付きもしなかったけど自分が実際海外に行ってみるとよく分かるんだよね。だから自分ではこっちでギャグのつもりで書いている文が海外で受け取ったサイドにしてみればすごく冷たいものだったりとかそういう行き違いだってすごく起こってると思う。メールひとつとってもそうなんだから、やっぱり海外に行くとホントに今までとは違う・逆の立場の人間の気持ちとかを体験してすごく色々考えさせられるよ。
 
まず第一に突然マイノリティーになる訳でしょ、言葉の分からない少数派の人種になる訳ですよ。それだけでもすごく色々感じる。自分が日本にいる時は全く感じなかった孤独感やら疎外感やらを時として感じたりする。それはどんなに解った気でいても実際日本語が全く通じない・日本人なんて一人も居ないなんて街にしかも一人でいってみないとやっぱり体では理解出来ないんだよね。そういう状況になるとやっぱり日本で自分が友達やら家族やらとにかくすごく恵まれているんだなとか、日本に居る時は当たり前でなんにも思わなかった事の大切さを感じる事が出来る。
 
だからよく言う話だけど、海外に居る事によって逆に日本人としての自覚みたいのが湧いて来たりするんだよね。まあ単純に日本人・外人というだけじゃなくね、色んな状況で今までとは違う立場の気持ち・意見が分ってくるんですよ。
 
音楽の聴き方みたいのの違いもやっぱりそういう立場というか状況の違いで分ってくる。やっぱりアメリカの田舎とか行くとさあカントリーとか合うんだよね、なんでカントリーとかが根強く人気あるのかすごく理解できる。前にアメリカの田舎で延々とドライブしてる時にラジオからR.E.Mの曲が流れて来て、なんかもう日本に居る時に感じてたR.E.Mと全然違うんだよね!!それまでR.E.M自体は大好きで僕なりにすごく理解してた気でいたんだけど、アメリカの田舎をドライブしている時に流れて来たR.E.Mっていうのはもう全然違うっていうかさあ、もうなんか環境との結びつき方がハンパない訳!!やっぱり彼らの音楽っていうのはアメリカの田舎のロードミュージックというか、まあとにかく土地に根付いたパワーみたいのがすっごくあって、日本でヘッドホンで聴いていたのと同じ曲とは全然思えないんだよね。好き嫌いは抜きにして、なんであれだけR.E.Mがアメリカで支持されているのかってアメリカの車の中で初めて分かった。やっぱりそういう事って環境・立場が変わらないとなかなか分からないんだよね。
 
さて話はちょっと戻りまして、今回の旅行で僕は『弱い立場の気持ち』というのをすごく経験しました。そりゃー友達の家とかでもやっぱ基本的にこっちが居候な訳じゃん。そしてそれ以前に外国という場においては基本的に僕らは弱い訳ですよ、当然「コミュニケーション取りたかったらそっちが俺達の言葉で話せよ!!」な訳ですよ、イタリアなんて警察ですら英語で話しかけても「俺はイタリア人でここはイタリアだからお前もイタリア語を話せ!!俺は英語は理解しねーぞ!!」なんてハッキリ英語で言ってきやがるんだよ!!(っつーかお前それ英語で話してんじゃねーか!!てめー英語分かるくせにただのイジワルじゃねーか!!と言いたくなる)。まあとにかくそうやって色んな局面で弱い立場の気持ちというのを何度となく味わいました。それは僕にとって本当に貴重な経験だと思うよ。別に『弱い・強い』という違いからだけじゃなく、単純に今までの自分と違う感覚・感情が湧いてくるというのは、なんつーか日頃使わない筋肉を使うみたいなもので、じつに健康的だと思うんだよね。海外で全くの一ファンとして誰かのライブとか見に行ったりするとホントにそうだからね、久しぶりに全く純粋に一ファンとしてライブを楽しむ。もちろん関係者席などではない。そういう風にライブを見るとやっぱり見えてくるものがファンの人達と同じ高さになる、そこで色々気づく事も沢山ある。例えば「なんか2時間とか立ってるのってすっげー疲れんだな、、、、」とかね。だからそういうファンサイドの気持ちをしっかり感じてしまった以上今後我々のライブはどんどん短くなるかもしんないよ!!ファンサービスの一貫として、、、、