新浦安のミジメ

大橋慶三の住むアパートは新浦安という住宅地にある。

あのディズニーランドで有名な舞浜駅の隣の駅です。

夢の王国のすぐ隣の駅と聞くと、なんかワクワクしますが(実際いつでも電車で一駅でディズニー行ける訳だから、すごいよね!)、しかしまあこれがまた何もなく、ただただダダっ広いとこな訳です。

そもそもディズニーランドを作れるという自体、そうとう何も無くダダっ広い場所じゃないといけない訳で、そう考えれば当然と言えば当然ですね。

まあ、何もないと言っても、そこは東京にほど近い千葉の話ですから、単なる野っ原とか畑とか、そういう訳ではなく、それなりに何かはあるわけですね。

何があるかっつーと、とにかく大きな住宅、とにかく大きなスーパー、その前を走るとにかく広い道路、そしてとにかく大きな回転寿司屋、とにかく大きな中学生、とにかく大きな爺さん婆さん、そういうスーパーサイズな街な訳です。

さすがディズニーの隣というだけあって、そういう意味でもアメリカナイズされた街であります。

僕はどうもこの街に(というか慶三の家に)行くと、毎回なぜか大変ミジメな経験をします。

まず最初に行った時は、生涯こんなにズブ濡れになったことはない!というくらい、ズブ濡れになりました。

門前仲町での仕事の後、雨が降ってるのにも関わらず慶三のバイクの後ろに乗って、慶三の家に行くという選択をしてしまった僕が悪いと言えば僕が悪いんですが、、、

いや、その時は新浦安がそんな遠いとは分かってなかったんです。
5分くらいで着くもんなのかなと、思ってた訳です。

そしたら、延々30分近く、バイクのバックシート'(っていうの?)で大雨に晒され、冗談じゃなくこのまま新浦安に着く前に凍え死んじゃうんじゃないかと、、、、本気でそう思うほど大変な目に合いました。

あまりに寒く、しかも空腹で、死にそうになりながら二人で駅前のラーメン屋に飛び込んだんですが、ほんとよく入れてくれたと思うほど濡れネズミだった訳です。

お店の人も、本来ならここまでズブ濡れのやつはさすがに店には入れないんだけど「今こいつらを雨の中に追い返したら死んでしまうんじゃないか?」と考え、お慈悲で入れてくれたんじゃないかと思うくらい、本気にズブ濡れになってた訳です。

そんな訳で、かなり惨めな思いをした新浦安第一回訪問だったのですが、それから数ヶ月がして、再び慶三宅に行く用事ができました。

まあ、今回は移動は車だし、そもそも雨も降ってないし、大丈夫だろう!
と思っていました。

実際問題大丈夫でした。

スタッフの1人が慶三の家でパソコンのセッティングをしている間、僕と慶三は近くのスーパーに買い出しに行きました。

そこはOKストアという、安売りで有名な大型スーパーでした。

僕らが行ったのがすでに夕食時間を過ぎていたということもあり、弁当関係は全部安くなっていて、刺身にいたっては半額の上にそもそもがかなり安いですから、380円とかで3人でも食いきれないような量が買えます!

恐るべし大型格安スーパー!

しかも、知ってる人もいると思いますが、この店は値段を安くするためにいわゆるビニールバックを無料では出してないんですね。
みんな自分でバックを持ってくるか、ビニールバッグを1袋5円くらいで買うか、あるいはいらなくなった段ボール(もちろんこれは無料)に入れて持ってくかの3つの選択肢から選ぶわけです。

そこで僕らは、段ボールに入れて持って帰ろうぜ!となったのですが
ビールやワインなんかは段ボールに入れてもサマになる。
まあ、そもそも段ボールに入って来てるだろうしね。

しかし、弁当とか、ましてや刺身なんかは、さすがに段ボールに入れて持ってみると、あまりにみすぼらしい。。

はっきり言って、そこら辺で賞味期限切れの弁当を拾ってきたホームレスのようにしか見えない!

案の定、家についてスタッフに
「はいよ、食べ物が到着だよー!!」
と弁当や刺身を見せても、キョトンとしてる

え???

これって、買ったんですよね???

大丈夫ですよね??

という目をしている。

こちらが「ちゃんとスーパーで買って来たんだよ」と説明しても、なかなか手を付けない。
しまいには「えっと、、、先に一口食べてもらっていいですか?」と、完璧に疑ってる。
完璧にそこらで拾って来た物を食わせようとしてると思われてる。

いくらなんでも、スタッフに拾って来た刺身を出しますか?
そんな風に見えるのか、俺らは?

いやー、ほんと惨めだった。。。。

入れ物一つなんですけどね。段ボールじゃなく、普通のビニール袋で持って帰ったら、全然そうは見えないんですよ。
ほんと、べつに慶三の家が悪い訳でも、スーパーが悪い訳でも、ましてや刺身が悪い訳でもない!

しかし、なんか行くと毎回惨めな目に合うんです、新浦安。