10年先

学生の頃に読んだデザインの本にすごく興味深い事が書いてあって、SONYのウォークマンのイヤホンのデザインについてなんだけど、ウォークマンが始めて発売になった時っていうのはイヤホンって今よりもっとゴツくて、頭からかけるタイプでさあ(ヘッドホンと呼ぶのか)デザインとかもすっごく無機質でまあまだまだ発展途上って感じだったんだよね。今見ると逆にレトロで良かったりするけど、まあとにかくそんな感じだった訳。でもってその後数年して今主流のタイプ、耳にイヤホンのみを入れるっていうタイプが出てきて、確か僕が中学位の時だったかな、逆に言えばそれまでは今みたいなイヤホンっていうのは無かった訳ですよ。あのタイプが出て来た時はやっぱりすっごいかっこいいなあと思ったね、スマートだなあって。

でも実はそのデザインっていうのが初代ウォークマンが発売された時から既にSONYにはあったらしいんだよね!!。でもあえてそのデザインをSONYは発表しなかった、それは何故かっちゅーと要するにまだウォークマンが初めて世に登場した時点では一般人がその形にはついて来れないって判断したんだねえ。だからわざとダサイ方というかその当時一般的なヘッドホンタイプの方を出して、そして何年かしてウォークマンそのものが一般に定着して、若者が街を歩きながら・電車に乗りながら音楽を聴くっていう文化が出来上がった時点で「では次の段階行きましょう!」って今のタイプのイヤホンを発表したそうなんですよ。

僕はこの話を読んでめちゃくちゃ感動っつーか「すげー!かっこいい!!」って思ったね。言うならば10年先を行ってるのに、わざと時に合わせてそれを発表してった訳でしょ。それってなんかすっげー「やられた!」って感じがしたんだよね。でも実はこの世のほとんどの物ってそうなんだよね、例えば映画とかだってその年に巷で流行ってる映画っていうのは作ってるサイドは何年も前に制作に入ってる訳じゃん、例えば最新のCG技術とかってのも我々がそれを観ている時は既に作るサイドではもう古い技術だったりする訳だよね。つまり映画に限らずコンピューターだろうと電気製品だろうと、そしてファッションとかでも一般の人達が「今これが流行ってる」とか「最先端はこれだ」とかって思ってる物ってのは実際はその1年前とか、物によっては10年前とかに既に出来ていたり企画されていたりする訳だねえ。

音楽の話だと、プリンスが84年にアルバム『purple rain』を発表して、そのアルバムを引っさげてのツアーを開始する時に実は既にその次のアルバム『around the world in a day』を作り終えていたっていう話もまさにそんな感じで、まあプリンスの事を知らない人に説明すると『purple rain』っていうのは一般的にも分かりやすくてパワフルなロックアルバムでこのヒットでプリンスは世界的なロックスターになったんだけど、その次に出た『aroundthe world in a day』っていうのはその路線とは全く違う密室的なポップアルバムなんだよね(かなり端折った説明だが)。プリンスはアルバム『purple rain』とそのツアーで最高のロックスターという地位を楽しんでいて、その行動にそれこそアメリカ中の音楽ファンがすっかり酔ってたんだけど、実はその時すでにプリンスはその次に出る一般からは理解され辛い難解なポップアルバムを完成してた訳ですよ。

つまりファンや評論家達が『purple rain』に歓喜している時にプリンス本人は実は既に次の段階に行っちゃってた訳、でも一般に向けては期待通りのロックスターを演じていた、というかそれはそれで楽しんでいた。うーんかっこいいね、プリンス。っていうかその先へ行き方っていうのがやっぱりすごいと思う。全米No.1になっているのに全くそこに留まろうってしてない訳、もう次の場所へ行っている、しかも『purple rain』で付いた多くの一般ファンをごっそり失う可能性のある様な全く違う方向・しかしながら音楽的な完成度の高い方向にちゃんと進んでいた。それって凄いよね、さすがプリンスって感じ。僕は子供ながらに感激しました。しかしさっきも書いた通りこういう事は音楽だけに関わらず実際沢山あると思うんだよね(レベルの差はあるが)。

例えば僕らホフディランで言うと『恋はいつも幻のように』っていう曲は実は僕個人のレベルでは『多摩川レコード』発売より以前、ホフとしてのデビューシングル『スマイル』が発売された直後位には出来てたんだよね。でも色んな理由で僕はそれを『多摩川レコード』のレコーディングには持っていかなかった。僕はあの曲がすごい重要な曲になるって見えてたから無理して『多摩川レコード』に入れる為に急いで作ってただのアルバムの1曲みたくなっちゃうのが嫌だったんだよね。実際もし『多摩川レコード』にあの曲を入れてたらたぶんちょっと違ってたと思う、っていうかあそこまで評価とかされなかったんじゃないかなあの曲は。そういう事っていうのは結構あるんだよね、つまり実は2〜3年前にすでに出来てた曲とかさ、単純に昔の曲をリリースしたって意味じゃなく、既に出来てるのに期を待っていたというね。

まあ要するにそれがイヤホンのデザインだろうと曲だろうと、それを作っているサイドと受け取っているサイドというのにはそれだけのタイムラグというか感覚の違いがある訳だよね。例えば服とかだって着る方は今年の流行というのに左右されるけど作るサイドは1年後のスタイルを作らなきゃいけない訳でしょ、もうその時の流行なんてものとは全然違うところにいる訳。売れる・売れないとか流行る・流行らないみたいな評価っていうのは音楽でも服でも僕はどうでもいいと思うけど、作るサイドは単純に感覚としてそれだけ先に行ってないといかん訳だよね。

さてさてそんな風に考えると今も地球の何処かで我々がまだ知らないすご〜いものが作られていると思うのだね。それはまあ音楽とか服とかそういう所に始まり、それこそ科学の世界とかは一般人レベルと比べたらもう10年先・20年先のところに行ってると思うんだよね、公表されていないだけで。子供の頃「実はタイムマシーンとか発明されてるんじゃない?」とか思った事があったけど、タイムマシーンがあるかどうかは知らんが、きっと相当ヤバイところまで我々がまだ知らない研究は行われていると思うね。

例えばクローン人間、絶対居ると思うよ。っていうかもうクローンだけの街とか地下に作ってたりして、そんなかで街レベルでの研究とか・例えばこういう感染病を一人が持ったらどの様に広がって行くのだろうとかの研究とか、されてんじゃん。場所はねえ・・・ニューメキシコ州あたりかな(予想)。まあ科学とか宇宙人がどうしたこうしたって話になるとまた違う方向に行っちゃうんだけど、企業の商品レベルでも相当すごいとこまで行ってると思うよ。一般の人がまだとても着いていけない様な革新的なデザインのコンピューターとか車とかさあ、ありそうじゃない。一粒で一週間分の栄養を補給出来る錠剤とかさあ、でもそれを発売してみんながそれを主食にしちゃうと、それこそ地球の生態系とかが変わってきちゃうから政府が止めているとかね、だってそんなのがもし主食になったら世界中の農民やら料理人やら食品会社とかがみんな仕事無くなっちゃうでしょ、そりゃー大変ですよ。

乗り物とかもさあ、すごいのあんじゃない?本当は。リニアとかさあ、浮いてる様なやつね。まだ発表されてないだけで、結構ビュンビュン走ってるよ地下都市では(知らない事は全て地下都市で行われていると決めつけてますが・・・・)。プレスリーとかもやっぱ生きてんじゃない?地下都市では・・・

そう思うとねえ、なんか未来は既に始まっているって気がするんだよね。21世紀だってねえカレンダー的にはまだ先だけど、21世紀になってから発表・発売されるものっていうのは実際はもう既に開発・制作されている訳だからねえ、そういう意味ではもう21世紀なんだよね。

もちろん僕の中ではもう21世紀始まってるよ!!。物理的な身体は20世紀にいるけど、考えている事や感覚はもう既に21世紀仕様、さ〜みんな盛り上がって行くぞ〜!!