極めて親しい友人の中に、おしゃべりなやつがいる。
おしゃべりとは一体どういうことか、いつなんどきでもペチャクチャしゃべってるやつ、それがおしゃべりかというと、そうではないですよね。
それは、単によく喋るやつですよね。
おしゃべりというのは、他人の秘密など言っちゃいけないことを人に言ってしまうやつですね。
そうです、つまり大変困ったやつです。
辞書によりますと
~ 口が軽いこと ~
と書いてありますが、はたしてそうでしょうか?
他人の秘密などを軽々しく話してしまう、という意味では確かに口が軽いことに間違いはありません。
しかし、おしゃべりなやつに限って、自分にとって不利なことや自分の本当の秘密などは話さないものです。
自分の失敗談なんかを、平気で面白可笑しく話すような人を、おしゃべりと呼ぶかというと、呼ばないですよね。
おしゃべりというのは、自分の事は話さないくせに、他人の秘密なんかを相手かまわず言ってしまう人のことですよね。
つまり、常に口が軽い訳ではなく、他人の秘密や本当は言ってはいけない事に関してのみ口が軽いやつ、これがおしゃべりな訳です。
もっと正確に言うなら、口が軽い訳ではなく、言っていいかどうかの判断ができないやつということになりますね。
つまり、名称としてはおしゃべりと呼ばれてますが、実際は口の問題ではなく、頭の問題ですよね。
さて、そんな訳で、そんな困った人が僕の友達にも数名いる訳です。
しかも困った事に、それなりに親しい友達にです。
これって実に困るんですよ。
べつに普段はいいんですけど、ちょっとした重要な話をしたい時に、そいつに言うべきかどうかすごく悩む訳です。
仲が良いからこそ伝えたいのに、そいつがどっかで言ってしまうんじゃないか?と思うと言えない。そのジレンマが結構あるのです。
大切な話って、たいていそれなりに秘密じゃないですか、仕事の事でも、人間関係のことでも、大切な話ってのはそれなりにプライベートだったり社外秘だったりする訳ですよね。
だからこそ、本当に仲良い友人や近しい関係者にしか話したくない。しかしその友人がおしゃべりということになると、はたして言うべきか言わないでおくべきか悩んでしまう。
だからね、そこのおしゃべりなあなた!
気づいてないでしょうが、意外とあなたの知らないところでみんなが「あいつには言わないでおこう」なんて何かを隠されてたり、「あいつは呼ばないでおこう」なんてハブにされたりしてるかもしれませんよ!
その原因は全てあなたのおしゃべりにあるんです。
いやほんと、大人になると言っちゃいけないことって結構出てくるんですよね。べつに政府に隠れて闇取り引きをしてるとかじゃないですけどね、それなりにいつまでは言っちゃ駄目とか、誰々には言っちゃ駄目とか、ここでは言っちゃ駄目とか、あるじゃないですか。
だからね、おしゃべりな奴ってほんとそういう時に排除されちゃう訳ですよ。
つまり本人は気づいていないだろうけど、おしゃべりな人ほど、他人からしゃべりかけられなくなるという、すごく本末転倒な自体に陥る訳です。
皆さん、おしゃべりにはご用心!
<2014年のあとがき>
この文章には特定の実在する友人がいるわけですが、彼はやはり今になってもおしゃべりで、やはりそんな訳で今でも重要な話は彼にはできない。
そしてそうやってちょっと距離を置くというのが、昔以上に長い年月になる。
あいつおしゃべりだから会わないでおこう、なんていうので、平気で5年10年過ぎてしまう。
だから皆さん、おしゃべりには本当にご用心なのです!