トラベル会話

今回の僕の旅行はまあアメリカだけじゃなかったんで、イタリアとかあと結果的には寄れなかったんだけどフランスとかにもちょっと行くつもりだったから、やはり一応その国の言葉をちょっとでも話した方が良いかなという内なるバイリンガル魂に火が着きまして『六ヶ国語会話』なる携帯用の本を買いました。まあそんな大したものではなくてちょっとしたトラベル会話が載ってるというだけのやつね。一番左に日本語が書いてあって、そこから右に英語・フランス語・スペイン語・イタリア語・ドイツ語なんつー感じに並んでいて、まあ表紙で六ヶ国語とうたっている割にその六ヶ国の中に日本が入っているというのはちょっと「せこい」んじゃないかと思ったけど、そんな表現が可能なら日本にある英語の教材はすべて『二ヶ国語』と言えちゃうんじゃないか?まあ間違っちゃいないけどね。でも基本的に誰でも母国語は話せる訳だから、それも数えて『六ヶ国語』とうたうのはどうかね?まあいいや、どうせ五ヶ国語でも充分多いから。
 
そんな本を買いまして、まあアメリカにいる間はあまり英語には不自由しないんでとりたてその本を見る事もなかったんですが、イタリアに行って、やっぱり基本的には英語が通じるんだけどそれはあくまでホテルだったりレストランだったりそういう客商売みたいな所で、中には全然英語通じない所なんかも沢山あるんだよね。特に通じないのは悪名高きイタリア警察。彼らは実際に話せない人達も沢山いるけど、話せても話さない奴が沢山いる。ローマとかって街の中に異常な数の警察官がいて、まあそういう意味では治安はすごくいいんだけど、それには裏があってローマは100%と言っていいほど観光の街なんで治安が悪くて観光客が来なくなってしまうと全く経済が成り立たなくなってしまうのでしょう、だから観光客の身の安全を守っているというより観光客の財布を守っていると言った方が適切じゃないかと思う。だってそうでしょ、観光客を助けてくれるはずの街中にいる警官達に英語で道とか質問しても「イタリア語で聞け!!」とか言うんだよ、あーこいつらが守ってるのは俺達の財布だけで本心から助けようなんて気は全くないなって感じたね。
 
まあそんな訳でこれはやっぱりその国その国で英語以外も話せないと駄目だな、、、、なんて感じましてちょこっとやったんですな、まあそんな難しくない程度ね、挨拶とか値段の聴き方とかレストランでの頼み方とかそういうのね。「これは何ですか?」とか「これはいくらですか?」とかそんなのをイタリア語で挑戦した訳ですよ。自分の発音を自慢する訳じゃないけど、たいてい聞き返される事もなく僕が言いたい事はすんなりイタリア人に通じました、しかし我々はそこで全く考えもしていなかった落とし穴・しかしちょっと考えてみりゃー気付くであろう当たり前の落とし穴にはまってしまったのです。それはつまり、質問されたイタリア人達が皆揃ってイタリア語で答え返してきたのです。
 
「イタリア語で話されればイタリア語で返す」これはごくごく当たり前の事ですね、我々だって外人から日本語で道とか聞かれたら「この人は日本語が分かるんだな」と思って日本語で返すでしょ。外人が日本語で聞いてるのに我々が英語で答えたら不自然じゃん、やっぱりその国の言葉で聞かれればその国の言葉で答えるというのが普通なのだね。だからこれが大失敗だった。そん時やっとこさ「これは何ですか?」程度のイタリア語を憶えたばかりの僕ですから、当然その質問にイタリア語で答えられても全く聞き取れないんですよ。本にも「これは何ですか?」の言い方は書いてあってもそれに対する何万通りもある答えを載せている訳もなく、質問出来たはいいが相手が何言ってんのか分からないという状態に陥った訳です。やむなく同じ事をもう一度英語で質問する事になる、そうするとやっぱり英語で聞いた事に対しては英語で返してくる、それで分かる。僕はこの実験(?)を何度か試したんだけど、どの人でもやっぱりイタリア語で質問すればイタリア語で返してくるし、英語で質問すれば(その人が話せれば)英語で返してくる。だからせっかくイタリア語で話しかけたところでその答えを聞き取る能力がないと結局ぜんぜん意味がない。
 
結果的に言えばトラベル会話レベルの本を持って行って現地の言葉で話したところでなんの意味もなかったんですよ、全然答えが聞き取れないし分からない。それよりも自分の分かる言葉で話しかけて「私はこの言葉しか分からないのです」とはっきり示した方が全然良いんだよね。極端な事言えばもし日本語しか分からないんだったら日本語で聞いちゃうくらいでいいんだよ旅行なんて、そうしてれば向こうもなんとか身ぶり手ぶりで教えてくれたりまあなんとかその状況においてコミニケーションを成立させようとしてくれる、下手にちょっとそっちの言葉を話そうなんてすると失敗する。特に物を買ったりする時とかなんとなく分かったような顔してるととんでもない物をとんでもない値段で買わされたりする。向こうにしてみれば「さっき俺がイタリア語で説明した時分かったって言ってただろ!!」って事になる、だからもう分からない時は日本語で「分かんねーよ!!」って言うくらいじゃないと駄目。そう考えるとトラベル会話本なんてほんとに意味ないね。ほとんど気休めか移動中の暇つぶしにしか使えないですよ。
 
それにしても会話本だけじゃなく、旅行関連の本って現地に行くと本気で役立たないものがほとんどなんだよね、でも日本にいる時はそれに気付かずみんな買ってしまう。なんでなんだろう。なんかすごくゆるーい業界な気がするなあ、、、、