OUT

今回旅行に行って、僕は意外な苦しみというのを味わいました。それは『OUT』出来ないという苦しみです。
 
このTALK SHOWで『slow in fast out』っちゅーのを書いたからおそらくほとんどの人は意味が分かると思うけど、まあ今回の旅行はそもそも僕にとって大きな大きな『IN』だったわけだよね。そしてもちろん色々な場所に行って、色々なものを見て色々な人と接して、僕は本当にものすごい『IN』をしてきました。それはもう自分でもビックリするくらいものすごく沢山のエネルギーを『IN』してきたよ。ただ旅行中に(しかもかなり早い内に)それらのINしたものを何かの形でOUT出来ない状況というのに、もうなんつーか辛くてしょうがなかったですね。
 
そもそもINするのが大事だという事はもちろん分かっていたし、そのための旅行だった訳だけど、実際にすごい色んな事をINしていくと今度はやっぱりOUTしたくなる、というかOUT出来ないとほんとに辛いんだよね。なんつーの、いくらすっごく美味しい御馳走を食べたってその後トイレに行けなかったら今度は逆に辛いでしょ!!ってあんまいい例えじゃないな、、、、。まあ日本にいる時というのは作曲したりレコーディングしたり、ラジオ出たりライブやったり、ここのホームページ作ったり、そりゃーもうOUTしっ放しですよ。日本に居る時というより、ここ数年常にOUTしてた訳じゃない。だからINの大事さっていうのは身にしみて分かってたんだけどOUTの大事さというのは分かる分からない以前にもう毎日自然に行ってたんですよ。曲が浮かべばピアノの所に行って曲を作り、言いたい事があったらパソコンに向かって文章を書く、良いアーティストに出会ったらラジオで紹介して、ライブでは最高に気持ち良くなるくらい演奏して歌う。そんな毎日だからね、OUTする苦痛こそ知っていてもOUT出来ない苦痛というのは味わった事がそんなになかった。
 
しかし海外を旅していると、いくら素晴らしいINをしてもそれをOUTする手段がない。たとえばすごく良いメロディーとかが浮かんでもそれを曲の形に出来ない。一応テレコ(テープレコーダー)を持って行ってたからメロディーを録っておいたりしたんだけど、やっぱりもっともっとOUTしたい。ピアノを弾きたいしギターも弾きたいし、もうレコーディングとかしたくてしょうがない。面白い経験とかしたって一人旅じゃそれを話す人が居ない。ほんとに今回OUT出来ない苦しみというのをものすごく味わいました。
 
毎日OUTしなくちゃいけないような環境に居る人にしてみたら、それはすごく贅沢な悩みの様に聞こえるかもしれない、確かに作曲も作詞も仕事もなんもしなくていいって言ったら普通に考えたら「代わってくれよ」っつーくらいの贅沢な状況だと思う。でも実際人にとってはやっぱり『IN』と『OUT』のバランスというのがすごく大事なんだなって事を学んだね。
 
単純に『仕事』と『休み』というのを比べたら、そりゃー誰だって『休み』の方が好きだと思うよ。でも今回感じたのは別に『休み』だから楽とか『仕事』だから辛いとかいうのではなく、やっぱり『IN』『OUT』のバランスだということなんだよね、『IN』出来なければ辛いし『OUT』のしすぎも辛い、そして今回の僕みたいに『OUT』出来ないというのもまた辛い状況なんだよね。そう考えるとたとえそれが『仕事』とかでも『IN』出来るものはたくさんあるし『IN』と『OUT』のバランスさえ保ってられれば全然辛くないんだよね。逆にいくら『休み』でもやっぱり『OUT』をバランスよく行わないと辛い。
 
だから今回旅行から一旦帰ってきたら僕はもうその日から数日間ピアノに向かいっ放しでした。それ以前に旅行中にテレコに録音してたのも、なんと60分テープ2本分になってしまったのです。曲の形じゃなくちょっと1フレーズだけハミングとか、ものによっては10秒くらいとかそういう感じで録ってたから、それで2時間っていったら一体どの位の曲数になるんだろうか? もちろんその全てを使う訳じゃくてここからどんどん削っていく訳だけど、単純に今回の旅行中に浮かんだ曲を全て形にしたとしたらおそらく50曲位になるんじゃないかな。そして帰って来てから数日でやはり10曲近く作ってしまいました。それだけ僕は『OUT』に飢えていたっていう事だね。
 
幸い、僕は少なくとも日本に居る時は『OUT』には困らないような立場にいるけど、おそらく人はみんな『OUT』しないと不健康になると思うよ。さあこの広い世界から沢山『IN』して今度はこの世界を埋め尽くしてしまう位『OUT』しようぜ!!!キッズ!!便秘は駄目だぞ。