2004年現在のPOP報告書

POPというものに関して、今まで色々と考え、僕なりに表現してきた訳ですが、ここらでちょっとPOPに関する2004年現在の傾向と対策を発表しようかと思うのです。
というのも、POPというものは絶対に時代背景と切り離しては成立しないものだと思うんですよ。逆に言えば5年前10年前のPOPと、今のPOPは絶対に違うものだし、違っていなければいけないんですね。それはべつに流行がどうこうという事ではなく、POPというものの立ち位置っていうのは絶対に時代背景を踏まえてないといけないものだと思うんですよ。なので、僕の中でも数年前のPOPと今のPOPではちょっと変わってきた部分もあるので、そこら辺をひとまずここらで書いてみようかなと。
ただ、そのまた逆を言うと、POPというものをしっかりした概念として捉える事が出来れば、本質そのものは絶対に変わらないものでもあるんですよね。
例えるならば『栄養』みたいなものですね。人間にとって栄養っていう概念って基本的には変わらないじゃないですか。人間が生きてく上で、身体に良いもの、身体に必要なものですよね。でもその時代その時代で必要な栄養って変わってくる。脂肪が必要な時もあれば、ビタミンCが異常にもてはやされてた時もあれば、鉄分が足りないという時、カルシウム不足だという時代、アミノ酸が重要だ!という時。その時代によって必要な栄養素やその採り方っていうのはどんどん変わるんだけど、栄養という概念そのものは変わる事がないでしょ。
POPも同じで、POPっていう概念そのものは変わらないと思うんだけど、その種類や採り方は時代に合わせてどんどん変わって行くと思うんですよ。さて、2004年のPOPを考える前に、今の僕の状況を話しておきましょう。
ご存知の通り、BANK$の1st ALBUM SUNSHINE LPが出た訳ですが、このアルバムを聴いた何人かのライターさんに「最初の2〜3曲を聴いて、これが本当に小宮山雄飛の作品か?って思いました」って言われたんですよ。
要は、今まで僕は100%完成したPOPをCDという媒体を通じて発表する人という風に思われてたみたいなんですが、今回のアルバムは明らかにそうじゃない感じ、つまり完成美じゃない生の姿やメッセージがアルバムの最初から伝わってくると。
だからといっていわゆるフォークやブルース的なアプローチで、ありのままの姿や私生活を表現してるんじゃなく、裸ではあるけどPOPっていう形で伝わって来ると。
その事に結構みんなビックリしてて、「雄飛君、大人になったねー!」って、てかもう30歳なんですけどね。。。
実はそれこそが今回僕が表したかったPOPの形なんですよ。
すごく簡単に言うならば、80%の形で投げかけるPOP。
80%といっても、ベースが入ってないとか、歌詞が完成してないとか、もちろんそういう事ではありません。残り20%の部分を聴くサイドが埋めて初めて100%になるっていう、そういう空間を残しておくという意味での80%です。
音だけじゃなく、歌詞とか感覚そのものの部分でね、100%出来たものを発表するんじゃなく、80%の状態で「こっちはこうだけど、そっちはどうなの?」っていう、20%の投げかけ部分を残したPOPっていうのを作りたかったんですね。
いやほんと、それ重要でしょ?
結局POPにとって時代性が絶対的に大切っていう部分はそこなんですよね。作品80%で、20%の時代性・客観性によって変わって行けるっていうのがまさにPOPの立ち位置だと思うんですよ。最初に書いた栄養の話じゃないけど、100%ビタミンCが大事です!!ではないんですよね。80%にある、栄養は大切!っていう概念は基本でありつつ、残り20%の部分をその時代・その人に合わせてビタミンだったりアミノだったりカルシウムだったりが代表してるんですよね。それを含めて最終的に100%栄養っていうのは人間が生活するのに大切な要素です!っていう。
それと同じでPOPっていうものは、80%の形で提供されるべきものだと思うんですよね、僕は
そこに2004年現在のPOPの着地点がある気がするんですよ。
<後半さらに続く予定。。。。>