ヨーロッパ紀行

元来アメリカ好きの僕がですね、ヨーロッパに来るとやっぱり日本からしたら同じ西洋の国でもかなり違う影響を受けますね。

なんかねヨーロッパって押し並べて、すごくアバウトなんですよ。まあアメリカもアバウトだしオーストラリアとか中国とかもかなりアバウトだろうけどね、それとはまた違うアバウトさ加減があるんだよね。

どんなアバウトさかっていうとね、物質に対しての公共的感覚が強い気がするんですよ。例えば列車とかでもね、指定席はあるんだけど、指定券持ってなくても空いてる席は座ってもいいみたいなルールがあるんですよ。絶対座りたい人は前もってちゃんと指定券を買うけど、当日空いてたら座ってもいいじゃん!みたいな。まあこれが正式なルールかどうかは分かりませんが、みんなそうしてますね。注意されたら初めてお金払うみたいな。

街を歩いていてもね、アパートの2階のベランダとかから知らないおばさんが「タバコないー?」とか平気で言ってくるんですよ。つまりね、タバコ持ってるんだったら分けてくれてもいいじゃん!!って感覚なのよ。別にそのおばはんに俺がタバコをあげる必然性も間柄もなんもないんですけど(そもそも俺はタバコ持ってないし・・・)、そういうの全然関係ないのね。私はタバコ持ってなくてあなたが持ってるんだったら分けてくれてもいいじゃん!!っていう感覚なんだよね。とにかく物に対する共有性っていうのが強いと言うんですかね。「全てはみんなの物」みたいな感覚が強いんですよ。

ヨーロッパ人はかならずしも物質的に共有性があるだけじゃなくて、時間軸でもすごく共有性がある気がしますね。だから町中にすごい古い建物が多いでしょ。アメリカ的な感覚でいったら、古い物と新しいものってなかなか共存しないんだよね。どっちか片方っていうのは全然あり得るんだけどね、なかなかその両者が共存するのは難しいんだよね。すっかりアメリカナイズされた日本もそうだけどね、例えば街が新しくなる時って、もう地域一帯を再開発とかっていってブッ壊して建て直して新しくするじゃん。とりあえず古いものを壊して新しい物を建てるっていう方向ですよね。でもヨーロッパは古いものをそのまま残しつつ微妙に新しくなっていくんだよね。日本の老舗の鰻屋とかがタレを絶対に捨てないでつぎ足しつぎ足して味を保って行くような事ですかね?(この例え、うまくね?)

ブリュッセルで日曜日にノミの市に行ったんだけど、まあ日本でいうフリーマーケットだけどね、そういうとこでもね、どうしたっていらない物とか平気で売ってんのよ。そんな古い電話使えないよ!!みたいな物がね。で、もちろんアンティーク的な愉しみっていうのがそこにはあるんだけど、それ以上に基本的な考え方として、自分はいらなくなったけど使いたい人がいたら使って下さい!みたいな感覚があるんだよね。普通に日本人だったらそれを捨てて新しい電話を買って終わりだと思うんだけど、そうならないんだよね。ホントの意味でのリサイクルだよね。

もちろんそういう感覚っていうのは良い面だけではなくて、悪い面も沢山あるけどね。ホテルとか泊まってもあっちこっちすごい古くて汚かったりするしね、このエレベーター本当に大丈夫なの??とかって事平気であるしね。そこそこの金を払って泊まったホテルで「このベッドカバー、血がついてるんですけど・・・」みたいな事マジでありますからね。そういう所はきちんと新しくして欲しいけどね。

まあとにかく基本的な所で「使えるんだからいいじゃん」とか「みんなで使えばいいじゃん」みたいなアバウトな「いいじゃん」感が強いんですよ。でも確かに人なんてね、そこそこ「いいじゃん」で生きて行けるんだよね、実際。その「いいじゃん」を全部廃止しちゃうとものすごく消費社会になっちゃう訳でしょ。そりゃー毎日シーツ取り替えた方が清潔だし、こっちは指定券を持ってるのにそこにずかずかみんなが座ってきたらムカつくよね。でもその位の事じゃ人間って死なないし、そこら辺をすごい大まかに『みんなの物』って考えれたら平和なんだよね。

ヨーロッパって良くも悪くもそんな世界だと思うんだよね。だから色んな物が共存してる。古いものと新しいもの、お金持ちと貧乏な人。各々の差はあれど、基本的には「みんなのもの」っていう感覚がすごく強い気がしますね。

だから変なルールもあるじゃん、ホームレスが空家に住み着いて数カ月するとそいつに住む権利が発生するみたいなのとか(アバウトな説明ですが)、冬場はホームレスが軒下みたいなとこに住み着いても追い出しちゃいけないとかね。日本人にしてみたらね、なんでだよ、俺の家じゃん!!って話だけどね、こっちの人にしてみたら「空いてるんだから住んでもいいじゃん」とかって感覚なんでしょうね。まあ確かにすごく大きな視野でみたら空いてる土地とか建物とか使わないよりは誰かが使った方がもったいなくないよね。でもやっぱり「それでいいのかな??」とも思いつつ、「確かに!!」とも思いつつ・・・・うーんどうなんだ?

とにかくそんなヨーロッパの感覚は部分的に困ったちゃんではありつつ、すごく地球に優しい公共性がある気がしますね。だからヨーロッパにいるとだんだんこっちも「いいじゃん」感が強くなってくるんですよ。レストランとかもね、全然予約の時間とか遅れても「空いてるんだからいいじゃん!!」とかって平気で遅刻するようになるんですよ、いかんいかん、今日もまた遅刻だ・・・。