SAY NO to 幽霊

僕はさいわいな事に、お化けとか幽霊の類は全く見ません。説明不可能な現象というのに遭遇した経験が全くないという訳ではないけど、それはもっとこうなんつーか生命の神秘だったり、宇宙の真理だったり、そういう深い深いモノで(僕の中では)、いわゆる普通の幽霊みたいなものは全く見た事がありません。
 
見た事がないから霊が居るとか居ないとかそういうのは全然分からない。しかし霊に関して一言言いたいのは、世の中ちょっと霊をもてはやし過ぎじゃないか!!霊にチヤホヤし過ぎじゃないか!!と思うのだね。
 
だって、幽霊ってさあなんかすぐ人を脅かしたり呪ったりするじゃん。でもちょっと考えて欲しいのだが、なんでそんな知らん奴から脅されたり呪われたりしなくちゃいけなんだよ。死んでからも自分を殺したやつを呪ってこの世に出てくるとかっていうのは、まだ筋が通ってるよ。しかし、全然関係ない市民の家に出て来たり、人の写真に勝手に写り込んだりするっていうのは、全然筋違いなんじゃないか!!と思うのだね。そもそも死んでいようが生きていようが、同じ人間な訳で、霊だけなんか特別扱いされてるのがムカツク。霊に関しての説明って大抵「生前の怨念(おんねん)が霊の形で、、、云々」とかさあ、そんなん言うけどねえ、生きてる人間だってみんな色んなストレスやら悔しい思いはあるっつの、しかしそれを我慢してみんなぎゃんばってるっつーのに、なんで霊だけが「生前の苦しい思いが」とか言われて特別扱いされるのかが分らない。
 
僕の友達には何人かやはり霊を見るという人がいる。どうもそういう人達に言わせると、普通にそこらに居たりするらしいんだけど、それが街中ならいいよ別に。でも俺の家とかだったら、やっぱ、お前人の家勝手に入んなよ!!って思うよね。俺が生まれるより随分昔からその土地に住んでた霊、とかかもしんないけど、そんな事言ったらそいつの前にももっと色々居る訳で、しまいには家中猿の霊とか恐竜の霊とかそんなんだらけになっちゃう訳でしょ。とりあえず今は俺の家なんだから、勝手に入るなっていうね。
 
友達の女の子でかなり霊を見る子がいて、ある時お風呂に入ってる時に金縛りにあったんだって、でもって「これは絶対居るな」と思って、思いきって目を開けたんだって、そしたら霊らしきものの「見るんじゃねー!!」っていう声が聞こえたんだって。これって怖いけど、よく考えたらかなり失礼な話だよね。女の子の風呂に突然入ってきて、こっちが見たら「見るんじゃねー」ってさあ、お前何やってたんだよ!!って感じじゃない?ホントに霊というやつらはタチが悪い、そしてスケベである。
 
なんか戦国時代に合戦があった場所とかって戦って死んでいった侍達の怨念が霊になって云々、、、とか言うけどねえ、あれだってやっぱおかしいよね。『死』っていうのは全ての人達にとって同じ重みだと思うんだよね、そりゃー侍が戦で相手に斬られて死ぬとかっていうのは決して良い死に方ではないだろうけど、だからと言ってそいつの死だけ特別苦しいものではないと思う。病気で苦しんで死んだ人達・交通事故で不運にも死んでしまった人達・最後まで自分の夢を実現出来ずに死んでいった人達、それらは全部同じ『死』という苦しみなり何かを経験している訳であって、戦で殺された侍だけがなんか特別霊になってまで『怨念』を表すというのはおかしいと思う。そしてそんな行為こそ侍らしくないというか、全然潔くないでしょ。一旦死んだんだったら「我が人生に悔い無し」くらいの事言って恨みとか残すなよな、ホントの侍ならねえ。
 
我々の業界には、スタジオに幽霊が出るという話が常にある。どこどこのスタジオのCスタのボーカルブースは結構出るらしいとか、どこどこのスタジオで録音すると変な声が入るらしいとか、そういう噂話というのはこの業界にはなぜかよくある。よく言われるのは霊っていうのは寂しいから賑やかな所に出るらしく、特に遊び盛りだった子供の霊はスタジオとかそういう賑やかな場にによく現れるとか言うんだけど、ちょっと待て!!と言いたい。もし近所のガキが勝手にスタジオに入り込んだらどうするか?おそらく相当手荒い対応で追い返すだろう。「テメー出てけ、このクソガキ!!」くらいの事はレコード会社のディレクターあたりなら平気で言うだろう。しかし霊だとなぜか、「怖〜い!!」なんて反応だけで許されてしまう、やっぱりちょっと霊っていうのは甘やかされてると思うね。
 
だから世の中にいる幽霊関連で飯を食っている人達はマジでちょっとそろそろいい加減にしろ!!と言いたい(稲川淳二は個人的に大好きなんでどんどんやってほしいが)。霊が居るなら居るで、それはいい、それを嘘だとは言わない。しかし霊を甘やかす事によってお金を稼ぐというのは、君達だけじゃなく霊にとっても良くないことなのだ。確かにそこらに霊が居るとして彼らがそれを「霊なんてそこらじゅうに居ますよ、ハハハハハ、、、」ではお金にならない訳だけど、なんか妙な台詞を付けて「落ち武者の怨念が、、、、」とか「この土地に昔から住み着いてる霊魂が、、、」とか言う事によって稼いでていいのか?。そういう言葉っていうのが霊を甘やかしてるんですよ。霊が居たらそこはきっぱりと「そりゃー怨念もあるだろうけど、辛いのはお前だけじゃないんだよ」とか「昔住んでたのはわかるけど、今はもう違う人の家なんだから、勝手に人の家に上がるんじゃないよ」とか言わないと駄目だよ。
 
そんな訳で、これからは霊に対してもはっきり「NO」と言える霊能力者が出て来て欲しいと思う今日この頃なのです。