旅人=ひな鳥説

旅人というのはひな鳥と同じ部分があると思うんですよ。
ひな鳥って生まれた時に見たものを親だと思ってついて行くっていう習性があるでしょ、あれと同じ習性が旅人にもあるんですよね。
その街に初めて訪れた時に行った店や食べた味を、ひな鳥にとっての親と同じように自分の中で『基本』と思っていつまでもついて行ってしまうんですよ。
 
僕が初めてバッファローウィングスを食べたのはN.Y.のPLUCK Uなんですが、いまだにN.Y.に行くと必ず行くし、PLUCK Uの味そのものが僕の中ではバッファローウィングスの基本形なんですよね。
美味しい美味しくないとか関係なく、バッファローウィングス=PLUCK Uなんですね、僕の中では。
 
もちろんN.Y.のその他のバッファローウィングの店や、N.Y.以外の店も、以前のTALK SHOWでも紹介した通りかなり行ってるんですが、やっぱ最終的にはPLUCK Uが一番落ち着くっていう。
 
同じく他のTALKで書いたカッツデリも同じで、N.Y.で初めて入った本格デリだったから、僕の中ではいまだにデリといったらカッツデリだし、毎回必ず行きたいお店なんですよ。
 
ベルギーで食べたムール貝も一緒、『ムール貝のワイン蒸し』ってその名の通りムール貝をワインと少しの香料とかで蒸しただけなんで、うちで同じように作っても他の街の店で食べても大して変わらないはずなんだけど、なんかベルギーの最初の店で食べた味よりおいしく感じないんだよね。
おそらくその店が特別おいしかった訳じゃないんだろうけど、僕の中ではもうあの店のムール貝の味が『親』になってるんだろうね、それ以外のとこでも美味しいとは思うんだけどなんかしっくりこない。
 
これってまさにひな鳥の習性と同じでしょ、最初に接したものを親だと思ってしまうっていう。
 
何も海外だけじゃありません、広島で最初に連れてってもらったお好み焼き屋。大阪で初めて食べた本場のたこ焼き屋、福岡の屋台。
どれをとっても、やっぱり一番最初に行ったとこが自分の中で親のようになってる。
 
そもそも家庭の味・おふくろの味とかってのも、まさにそれなんでしょうね。
美味しい美味しくないじゃなく、もう自分の中での基本の味。
 
そう考えると『三つ子の魂 百まで』と同じで、『旅人の想い出 百まで』ということになりますね。
つまりどんな土地でも、最初に訪れた時にどこに行ったか、何をしたか、どのお店で食べたか、これがその後その土地に何回も行くとしても最も重要になってくる訳です。
 
なので、これから新しい土地に行く人、初めてのものを食べる人、その1回目が極めて重要ですよ!
なにしろそれがあなたの中でのそのジャンルの『親』になるんですから!!
子供は親を選べないといいますが、旅に関しては自分で『親』を選んどくことも可能ですから、くれぐれもDVの親などを選ばないよう、慎重に旅を計画してください!