動かざること

地球の温暖化というのは深刻な問題です。
何が深刻って、その原因が100%人間にあるところです。
たった一つの種族が、数えきれないほど多くの生き物がいる地球の温度をそこまで上げて良いはずがないでしょ!
 
想像して欲しいのですが、満員の東京ドームのライブで、たった一人の客が自分のために会場の温度を異常に上げている、これ許されますか?
そういうことですよね、人間だけのせいで地球全体が温暖化しているって。
 
しかし、そもそもなんで温暖化が起きてしまうのか。
それを考えるに、一つ前のトーク『虫に学ぶ』を読んでいただきたい。
 
はい、読みましたね。
読んだと思って進みますよ!
 
とはいえ、ここまで言っても読まない人もいそうなんで、最後の一文を抜粋しときましょう。
 
<あくせく動いて地球の温度を上げるよりは、生き物として動かざる事が大切な時もあるということを、1匹の謎の虫から学んだ1日でした。>
 
はい、こういう一文でした。
 
つまり、フロンガスがどうした、車の廃棄ガスがどうした、京都議定書がどうした、と言う以前に、人が動けばそれだけエネルギーを発する訳で、それだけ温度は上がる訳ですね。
 
人間が動く事で起きるエネルギーを総称して<動体エネルギー>と呼んでおきましょう。(通常の動体エネルギーというの言葉は全く違う意味だと思われます)
 
ほんとに人が動くだけで、問題になるほど動体エネルギーを発生するか、つまり温暖化が進むかというと、それは分かりません。しかし、現代人が動くと確実に動体エネルギーが発生します。
 
A地点からB地点へ移動するとしましょう、そこで車を使えば排気ガスが出ますね、じゃあ車を使わずに歩いたらどうかというと、これは夏ともなればとても暑いですから、B地点ではクーラーをガンガンに利かせたくなるでしょう。あるいは冷蔵庫で冷えた飲み物を飲みたくなるでしょう。これでかなりの動体エネルギーを発生させます。
歩いて服が汗だくになれば、早く帰宅してシャワーの一つも浴びたくなるだろうし、服を洗濯するのにも沢山の水・電気を使いますね。
 
つまり、A地点からB地点へ移動するというだけでも、現代人が動くとかなりの動体エネルギーを発生させる訳です。
 
「じゃあなにか!裸でじっとしてろとでも言うのか!この夢想家め!」と言いたくなるかもしれませんが、まあそう急がずに。
我々も生き物ですから、馬が草原を走り、蜂がブンブン飛び、犬が喜び庭駆け回るのと同じ様に、A地点からB地点までザ・ぼんちばりに恋をしながら移動する位許されるでしょう。
 
しかし、人間以外の動物が走り回っても全然動体エネルギーを発生させないのに対して、人間(現代人)だけは上記のように色んな動体エネルギーを発生させる訳です。
そこのことを考えなくてはいけません。
 
今年の夏は政府が『クール ビズ』という職場でのノーネクタイ・上着無し運動を推奨してましたが、それだけでもかなり温暖化防止に役立つと言われてましたね。
フロンガスとか排気ガスとかではなく、ネクタイしないだけでも温暖化防止に貢献できた訳です。
 
逆に言えば、それだけ人間は温暖化に関与してるという事です。
人間以外の生き物はみんな真っ裸で(たまに洋服着させられてる犬とかもいますが)、自分の温度調整はみんな自分の体でやってます。
だからいくら動いても動体エネルギーが生まれない訳ですね。
 
そう考えると、人間が動体エネルギーを発生させないためには、裸になるか動かないか、このどちらかになる訳です。
 
もちろんいきなりみんなが素っ裸になったり、まったく移動しなくなるというのは無理でしょう。
でも、根本の部分でそれを理解してないと、いつまでたっても温暖化は止まらないでしょう。
 
つまり、フロンガスのせいでも、排気ガスのせいでもなく、それ以前の人間が動く事、これ自体が温暖化の原因であると。
つまり、時には地球のために「動かざる事 山のごとし」が必要な訳で、地球のために裸になることが大切な訳です。
 
僕の知り合いがアフリカに旅行で行った時、現地の人がほんとに何もしないでボーっとしてるのにビックリしたらしいんですよ。
でも彼らは知ってるんだって、無駄に動けばそれだけエネルギーを消費するっていうことを。
だから彼らは必要以上にはあくせく動かないし、お腹も常に腹八分なんだって(!)
もっと食べたくても、ちゃんと必要最低限のところで止めとくと。
食べ物の食べ過ぎ・穫り過ぎは自然を破壊するし、自分達の欲も「もっともっと」となるのを分かってる。
だから、あえて必要最低限の生活をしている。
お腹がすいてて目の前に木の実があるのに、あえて我慢するんだそうです。
まさに動かざること山の如しですよね。
 
我々日本人からしたら、ダラダラといつまでも発展しない国のように見えるかもしれませんが、実はそれわざとやってるんですよ。
ただナマケてる訳じゃないんですね。
 
僕もバリバリの現代っ子ですから、正直日々これ前へ前へ行きたい人です。
でも、このアフリカの人々が持ってる「動かざること 山の如し」という感覚も、日本の侍としてもしっかり実践したいところであります。