美術館へ行こう

海外へ行くと、その土地で必ず行くのが美術館ですね。日本でも行かない事もないですが、海外に行くとホント毎日の様に美術館か画廊とか見に行ってますね。
まあ、美術館に行くからなんとなく偉いとかアーティストっぽいとかそんなこたー全然なく、基本的なとこではただの観光なんでしょうけどね。
それにしても海外に行くと、日本では行かないようなとこ行きますよね。美術館にしろ教会にしろ、あるいは山とか公園とかもそうだけどね。
日本で近所にあったら全然行かないんだろうな・・っていうとこ、やっぱり知らない土地だと行くよね。
僕なんか原宿に30年住んでる訳ですから、家から1歩出れば観光地な訳ですよ。明治神宮に代々木公園、竹下通りに裏原、美術館だって原宿なら太田記念美術館、青山行けば根津美術館。とにかくかなりの観光スポットがある訳ですが、じゃーそんなの毎日行くっかっていうと行かないですからね。やっぱり人って近くにあると行かないよね。逆に旅先だと、いつもなら絶対行かないようなとこに行くから、それで色々勉強になるんだよね。
要は旅行って、学校と一緒で、行けば色々学んだり経験があったりする。理屈で言ったら、学校の勉強なんて家で一人でやろうと思えば出来るじゃないですか、参考書買って。でもホントにやるかって言ったら、結局ダラダラしちゃったりして、絶対やらなくなるでしょ。旅も一緒でね、本当は見るものなんて自分の家の周りにもいくらでもあるんですよ。でもそんなのを毎日しっかり見るかって言ったら、絶対見ないでしょ。それが旅先だとついつい見るんですよね。美術館に行ったり、まるまる1日街を散歩してみたり、普段家の周りではしないような事をする。
そう考えると旅と学校とかって似てますね。要はきっかけなんですよね、新しい知識を入れたり人と知り合ったりするための。別に行かなくてもいいっていえばそれまでなんだけど、何かが起こるかもしれないきっかけなんだよね。
 
さて話を美術館に戻すと、僕が始めて海外で美術館によく行くようになった時に感じたのは、ホントごくごく当たり前の事なんだけど、「これってちゃんと人が描いてんだなー!すげー!」っていうのだったんですよね。
ホント当たり前の事なんだけど、それってやっぱ生でその絵や彫刻を見ないと感じないんだよね。僕らは情報化社会っつーかマスコミ文化っつーか、とにかくそんな世界に住んでますから、単なる情報としては色々なものを見てますよね、絵画にしろ映画にしろ。でも、やっぱ情報としてのアートって、生じゃないんですよね。
例えばピカソの絵とか、それこそ有名で誰もが1度くらい雑誌なりTVなりで見てると思うけど、生で見ると、当然それは全くの平面ではなく絵の具で表面がボコボコしてたり、古くなってちょっとシワみたくなってる部分があったり、とにかくこれをピカソという人が本当にこの画板に描いたんだ!っていうのがすごく分るんだよね。デザインとしてキレイとかどうとかではなく、生身の人間がこれを作り上げたっていうパワーが伝わって来るんですよね。
この画板に向かい合って絵を描き上げた作者と、見ている自分が同じ立場になるじゃないですか、その1枚の画板を挟んで。そう考えると、なんとも鳥肌が立つというか、これってすげー!ってなるんですよ。
以前、修学旅行で京都に行って仏像を初めてちゃんと見た時もそんな感じがしたんだよね。形がどうとかそういう事じゃなくね、目の前に生で仏像が並んでるのを見た時に、それを作った人の魂というかもう怨念みたいなものがね、ガツーン!と来たんですね。
『仏作って魂入れず』って言葉がありますけどね、あれって見る側も同じ事で、TVとか雑誌とかで見ただけって『仏見て魂見ず』って事だと思うんですよ。仏の形とかインフォメーションを見るだけだったらTVでも雑誌でもなんでもありですけどね、やっぱり実物をちゃんと見てその魂を感じなかったらしょうがないでしょ。
絵画もね、やっぱり生で見るとその作者の魂みたいの感じるんですよね。ウォーホルとかああいうポップアートですらそうですよ、やっぱり実物を生で見ると、全然感じるものが違う。
だから、あんまり美術とかに興味ない人でも、とにかく生でアートを見てみるっていうのはホントおすすめですね。仏像なんて全く興味なかった俺でさえ、生で仏像見たらガツーン!!と来たくらいですから、やっぱりそれなりに感じる事はあると思いますよ。