小鳥のさえずり

今ね、この文章、ベランダで、い〜感じで書いてるんですよ。お日さまもポカポカと照らしていて、ん?お日さまがポカポカっておかしいか??ポカポカは陽気を指すのか??まいいや、とにかくポカポカと、お日さまも、あるいは風も、あるいは渋谷へ向かうバスの音さえも、心地よい休日な訳です。
 
そんな最高の昼下がりをさらに盛り上げるがごとくやってきたのがスズメなんですよ。結構人間を怖がりもせず、そこそこ近くまでやってきて、「チュン!チュン!チュン!」と何やら鳴いております。いい感じ!!
 
ホントはこんな文章書くつもりじゃなかったんですけどね、なんかあまりに心地良いんで、ついついダラ書きしちゃってるんですよ。日記でもつけるかのようにね。でね、ふと思ったんだけど、スズメのあの「チュン!チュン!チュン!」って何言ってんだろうね?
 
うちではいつも小鳥向けにちょっとした餌をベランダにまいてるんですよ、昼ともなればそれを目当てにスズメやらハトやらがパタパタパタとやってくるんですけど、先程僕のそばにやって来た一羽のスズメもおそらくその餌目当てでやってきたら「なんか今日は変な男がひとりで世界にひたっておるな、チュンチュン。餌をもらいに来たのに、邪魔なやつだなあ、チュンチュン・・・」てな感じだったと思うんだけどね。
 
そういった背景を考えると、先ほどの「チュンチュン」を訳すなら、「早く餌をおくれー!!」か、あるいは仲間に「今日は変な人間がいるから気を付けた方がいいぞ!!」っていう忠告か、まあ人間サイドが考えるにはそんな所だと思うんですが、果たして実際はどうなんでしょうか?きっと人間みたいな正確な言語はないじゃないですか、英語を日本語に訳す時に『THIS』は『これ』で、『THAT』は『あれ』みたいな、そういう変換はおそらく出来ないでしょ。『チュン』は『彼』で、『シュン』は『彼女』とか、そういう事ではないですよね、きっと。
 
おそらく魂の叫びといいますか、ライブ会場で若い女子が僕を見て思わず感情的に「キャー!!」と黄色い声を上げたり、若い男子が盛り上がって「ウウォーー!!!」なんつって騒いでいるのと同じ、おそらくそれ自体に言葉の意味はないが、その時の気分を表す行為だと思うんですよ。
 
でも必ずしもそれだけでもない気もするんですよ、カラスなんて明らかになんかを仲間に伝えてるでしょ、あれ。ただ感情的に「やったー!!今僕飛んでるよーー!!飛べるー!飛べるー!YOU CAN FLY!!!!」とかって叫んでる訳じゃないと思うんですよ。やっぱりなんらかの合図「こっちに餌があるぞ!!」とか「そろそろ巣に帰るぞ!!」とかなんか伝えてると思うんですよ。
 
でもやっぱそれを伝えるのにいわゆる言語を使ってるかっつーとそうではないだろうなと。人間でも言語使わなくても、同じ「キャー!!」でもそれが恐怖を表すものか、好きな人を見ての歓喜の声なのかとかって微妙に違うじゃないですか。同じ「ウオー!!」でも、「ノってるぜーー!」なのか「突撃開始ー!!」なのか「賛成ー!!」なのか「このエロ画像すげーー!!」なのか、おそらく微妙にウオーの発音っぷりが違うと思うんですよ。
 
それってすごいエモーショナルな部分だよね。一切の言語を使わずに感情を表すわけだからね、ある意味すごい芸術性にあふれる表現じゃないかなと。歌手や役者がその声や動きで感情を表すっていう様な事を、動物達って常にやってるんだなって。例えば辛い時、僕らは簡単に言語で「苦しい」とか「痛い」とか「ムカつく」とか言えばいい訳でしょ。でも動物ってそれを一切言語使わず表す訳だからすごいよね。例えば仲間を集める時だって人間だったら「今日の午後7時に新宿に集合」なんてメールすりゃーそれで一発だけど(まあたいていは一発では集まらないのだが・・・)、鳥とかはそんな言語は持ってないから、なんかしらんが鳴き方やら飛び方やらを色々考えてそれを伝えないといけない。それってやっぱ音楽とかそれこそ『能』の世界とかにも通じる表現力が必要だと思うんですよ、言語一切なしで感情や情報を伝えるっていうのはね、毎日がジェスチャーゲームみたいなもんでしょ?ん?それちょっと違うか??まいいや。
 
なんかね、そう考えるとスズメの鳴き声ひとつ取っても奥が深いなあって。結構プロフェッショナルなんだなあって。そんな事を考える事のできる優雅な昼下がりっていうのも、たまにはいいものだなあ、などと思いながらまた一羽スズメがやってきて「チュン!チュン!チュン!」と鳴いては飛び去っていく姿を見ているのです。もしかしたら「お前全然分かってねーな!!」なんてはっきりした言語喋ってたりしてね。そしたらこの文章は全部間違いだったという事で忘れて下さい。