スープに入れるめ人類とイーフーメン

世界にはどうにもこうにも面白く間違っている日本語というのがけっこうあります。『Mountain』の歌詞カードはわざとそんな間違い日本語にした訳だけど、この間イギリスの中華レストランであまりに面白い間違い日本語メニューを見つけてしまい、僕は申し訳ないがそこのメニューをこっそりもらってきてしまいました。僕も世界のあっちこっちで間違い日本語を見て来たけど(なぜか特に台湾とか香港とかが多い)、今回イギリスで見つけたメニューはちょっとまじですごいよ、とにかくおかしな間違いが多すぎる、というか普通のメニューがほとんどない。しかもその間違え方が、ただのミスとかではなくいくつかのパターン化された間違いがあるかと思えば、まったくもって意味不明な間違いもあったりして、なんつーかとにかくすごい。んな訳でその中のいくつかをここで紹介しようと思う、これ全部実際にメニューに載ってた名称だよ。ちょっとすごいでしょ。
 
<香ばしくてもろいアヒル>
まずこの店は「Crispy」という言葉をなぜか「もろい」と訳していて、メニューに出てくるクリスピーなものはすべて「もろい」と書かれている。『香ばしくてもろいアヒル』というのは英語では『Aromatic Crispy Duck』 と書かれてるんだけど、一体どんな物なんだろう?他にも『もろい海藻』とか『もろく揚げたチキン』とか『肉或はヤサイを詰めたもろいスプリングロール』なんてのもあるんだけど、ちょっとねえ、、、もろいもろいってねえ。そもそもクリスピーをもろいなんて訳さなくてもそのままクリスピーの方が伝わりそうだよね。その割に『春巻』は『スプリング・ロール』のまま。そここそちゃんと訳した方がいいんじゃない?
 
<カニ肉とトーモロコシの煮じる>
これも嫌だねえ、、、、。煮じるってねえ、、、。その割に『トウモロコシ』を『トーモロコシ』とのばしている辺りはちょっと可愛いんだけどね。煮じるって書かれるとスープもなんかこう、ドロドロというか、グチャグチャというか、とにかくなんかグロテスクだよね。ちなみに『煮じる』シリーズ最強の一品は『シーフッドと魚の唇の煮じる』です。これはもうマジで嫌だね。シーフッドの時点でもうアウトだからね。すでにツーアウトですよ、これ。
 
<蒸すカニ>
これはねえ、なんつーかついつい「を、どうしたの?」とツッコミたくなるんだよね。『蒸すカニ』って言われてもねえ、、、やっぱり何度読んでも「を、どうしたの?」と言いたくなる。この店やはりそういう細かい日本語の変化には全然着いて来れてなくて、『蒸したカニ』が正解なんだろうけどね、どうしても『蒸すカニ』なんだよね。他にも『蒸す伊勢エビ』とか『ゆでるエビ』とかやっぱり「を、どう料理したんですか?」と付けたくなる一品が並んでる。中でも『焼き豆腐にカニ肉』なんてのはやっぱり「を、どうしたの?」と聞きたくなる。おそらく『焼き豆腐とカニ肉』なんだろうけどね。言葉ってちょっと違うだけでかなりニュアンス変わるんだね。ちなみにこの店では麻婆豆腐は『辛い千切りの肉と煮込む豆腐』となっている。たった一言『麻婆豆腐』と書ければそれで済むと思うのだが、、、、
 
<色々な肉と煮込んだアヒル>
これはなんか怖いね、ちょっとちゃんと明かせよ!!っていうね。マーボードーフみたいに必要のない訳をがんばってる割には、なんかずいぶん曖昧なままのメニューだよね、これは。色々な肉ってねえ、、、アヒルだけ特別扱いしてるけどね、アヒルも色々な肉の仲間でいいんじゃないの?
 
<豚の縁皮カリカリつくり(温製)>
なんか可愛いよね。意味は全然分からないけど。
 
<軟殻蟹の塩・胡椒風味>
これねえ、、、ちょっと全然分からないでしょ。これソフトシェルクラブなんですよ、アメリカなんかじゃよく食うけどね。殻が軟らかくてそのまま食べれるカニ。確かに漢字ではそうなんだろうけどね、英語でソフトシェルクラブのままの方が通じるっていうね。なんかこれじゃ戦時中のスポーツみたいだね、英語使っちゃいけない時のね。
 
<カキ揚げ>
ってこれねえ、カキフライの事なんだけど。『カキ揚げ』って言われたら日本では普通、牡蠣を揚げたのを連想しないで天ぷら屋なんかの『かき揚げ』を想像するよね。日本語が難しいのかこいつらがおかしいのか、とにかくなんか常に微妙に外してくれるんだよね、、、彼らは。
 
<威風堂々たる風のそば>
来ましたね!!ここにも『〜風』が。それにしても威風堂々たる風ってどういう事?堂々としてんのかしてないのかハッキリしろ!!っつの。『風の』を抜かして『威風堂々たるそば』の方がまだ良くない?(っていうかそれもそれでちょっと大袈裟過ぎじゃねーか?と思うけど)。これは英語では『'Imperial' Noodle soup Casserole』となっていた。つまりインペリアル=皇帝のそばって事なんだね。それで『威風堂々たる風のそば』なのか、、、、、ってやっぱおかしいよ、君達。
 
<スープに入れるめ人類とイー・フー・メン>
これはなんつーかもう完全に哲学の領域に入ってますね。ちなみにこれは一品の名前ではなく『前菜』とか『スープ』とかそういうジャンル名として書かれてたんだけど、『スープに入れるめ人類とイー・フー・メン』とはこれいかに?人類とイー・フー・メン?スープに入れるめ?なんの事だ?何か突如お坊さんとかスフィンクスとかそんな人(?)に謎なぞを突き付けられたかのようだね、中華料理屋で。「この意味が分かったら好きなだけ食べて良いぞ。そのかわりもし分からなかったら、、、、その時は、、、、フアハハッハハ!!!フアハハハハハ!!!!」とか言って煙の中に消えて行ったりしそう。『スープに入れるめ人類とイー・フー・メン』一体なんなんだ、人類がなぜ突然中華料理のメニューに出てくるんだ?
 
謎は深まるばかりですが、僕はそこで気付きました。これ平仮名の『ん』を漢字の『人』と勘違いしてるんだな、と。『人』を『ん』に置き換えれば『スープに入れるめん類とイー・フー・メン』に早変わり!!「なーんだ、めん類だったのか!」と一件落着。確かに外人にしてみれば『人』と『ん』とかって似てるかもしれない。それにしても紛らわしい間違いだなあ。そして『スープに入れるめん類』とかって丁寧に説明してる割には『イー・フー・メン』に関しては何の説明もない。
 
ともあれ『人類』の謎が解けただけ良かった!!もちろんこの謎解きによって僕は店の料理全て食べ放題になった、、、、はずはない。